第50回(2019年)
JXTG童話賞
【中学生の部 最優秀賞】

雨やどりの停留所作者:青木志央理 / 絵:おおの麻里

バス停で雨やどりをしていると、自分だけ別世界にいるような不思議な気分におそわれる。だから私は、傘を持っていても雨やどりをしてしまう。

部活からの帰り道、突然の夕立に、慌てて私は近くの停留所に入った。木製のベンチに腰かけると、一匹の雨蛙と目が合った。じっと動かず、ただギョロリとした目玉だけがこちらを見つめている。その姿が雨やどりをしているように見えたものだから、私はくすくす笑った。すると、

「雨蛙が雨やどりをしたらおかしいか。」

低く、落ち着いた声が雨音をつらぬいた。

私はぎょっとして雨蛙を見つめた。

「まさか……ね。」

しかし、さっきよりも大きな声で、雨蛙は言ったのだった。

「雨蛙が雨やどりするのがそんなに珍しいか。」

雨蛙は口を器用に動かし、確かに話していた。しかし、私にとって雨やどりの停留所は別世界。驚きは雨音にまぎれて消えてゆく。

「雨が嫌いなの?」

私は、思い切って雨蛙に聞いてみた。

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