第50回(2019年)
JXTG童話賞
【一般の部 優秀賞】

小学二年、男子。お風呂の入り方作者:藤井耿介 / 絵:南知里

ぼくは小学二年七歳、男子。もう何でもひとりでできる。ご飯食べるのだって、食べたあとの食器を流しに下げるのだって、自分の洗濯物を洗濯カゴに入れるのだって、着替えだって何だって。それに、ここだけの話、ウンチしたあとのお尻だって自分でちゃんと拭けるんだよ。エライだろ!?

でも、もひとつ、ここだけの話。お風呂はまだかあさんと一緒に入ってるんだ。あ、笑ったな!だからほんとは、いうのイヤだったのに……。

うちは農家で、とうさんとかあさん、兄ちゃんとぼくの四人家族で、兄ちゃんとぼくは歳が一回り、十二歳も離れてるんだ。兄ちゃんは、後を継いで、とうさん、かあさんの三人で一所懸命働いている。ぼくももう少し大きくなったら、農作業、ちゃんと手伝うことにしてるんだ。

あ、それで、お風呂なんだけど、一緒に入ろうというのはかあさんの方なんだ。ほんとだよ!

お風呂に入ると、かあさんは、ぼくの頭にシャワーを浴びせ、髪を濡らすとシャンプーを振りかけ泡だらけにすると、指を髪の中に突っ込んで、ごしごしと洗う。かあさんの指は、野良仕事なんかで太くてゴツゴツして力もあるので頭がクラクラするほどなんだ。

文句をいうと、何いってんの、地肌もちゃんと洗わなくちゃ、なんてぜんぜん平気な顔して、洗面器にお風呂のお湯を汲んで、ザッパリとぼくの頭にかけて泡を洗い流す。もう、シャワーすら使ってくれない。

シャンプーが終わると、ヘチマにボディソープをしみ込ませると……え、ヘチマってなんだ、だって?

えーと、糸瓜という植物の繊維だけを残したスポンジのようなもので、日本では昔から――うちではいまでも――体や食器洗ったりするのに使うんだよ。

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