第46回(2015年)
JX-ENEOS童話賞
【一般の部 最優秀賞】

残されたカレーライス作者:佐用優子

残されたカレーライス

東日本大震災。
そんな名前がついたのは、ずっとあとのことだ。
家も車も人も。自然の流れに逆らえず、自然の欲するままに流れては消えていった。
頭の線が止まったように、ぼくは並べられた現実を拒むこともなく受け入れた。配給のジュースやおにぎりが目の前にあれば受け取り、毛布が配られれば受け取った。
自宅にいた父と母との対面は、無言の帰宅と言われる通り、白い布をかぶせられストレッチャーの上で静かに眠っていた。
そんな対面のなかでも、周りの係員たちは流れ作業のように全てを淡々とこなしていく。
「お母さんとお父さんで間違いないですか?」
ぼくは静かにうなずいた。荒れ果てた街、人でごった返す避難所。
心が折れた音が聞こえると、なにもかもから自分だけ取り残されたような気分になった。
しばらくすると、多くの救援物資や温かい食べ物が送られてくるようになった。
ぼくはその全てを、手にすることもせず何日も何日も体育館の隅で膝をかかえて座っていた。

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