第42回(2011年)
JX童話賞
【中学生の部 優秀賞】

ぼくは松の木作者:中嶋桃子

ぼくは松の木

 ぼくと六万九千九百九十九の仲間たちは、海のそばに並んで立っていた。
 海はいつでも小さな波が行ったり来たりしていた。水は青くて、砂浜の砂は白い。ぼくの自慢の海だ。
 夏の暑い日には、たくさんの人間が海に泳ぎにきた。しぶきをあげて遊ぶのはとても楽しそうに見えた。
 ぼくは歩くことも、しゃべることもできない。できるのは、体や何本もの腕を鳴らすことだけ。だけどそれも、ぼくの力で鳴るんじゃない。ただ、風にゆれて「かさかさ」と小さな音がするだけだ。
 だからぼくには、人間がとても輝いて見えた。
 二本の足で走りまわれる、人間。うたったりしゃべったりできる、人間。きれいな海で泳げる、人間。なにより人間は、笑うことができる。
 そんな人間に、ものすごくあこがれた。
 人間が話しかけてくれたら。ぼくも笑えたらいいのに。いつもそう思っていた。

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