第42回(2011年)
JX童話賞
【一般の部 優秀賞】

おててでんわ作者:丸山美穂

おててでんわ

 セイヤは、最近、気がついた。自分の手が電話になるのだ。
 たとえば保育園で外遊びの時間、ふと、まわりにだれもいなくなって、ひとりになったとき。そっと、園庭の木の陰に行って、左手を丸めてグーにして、そっと耳に当ててつぶやいてみる。
「もしもし?」
「……。」
 丸めた手で作った電話の向こうからは、何も聞こえない。耳を澄ましても、とても深くて、しん、としているような気がする。  それでもセイヤは、自分の手が、電話になったと思うのだ。しん、としたその向こう側に、何かあったかいものを感じるのだもの。たしかに、どこかにつながっている。間違いない。そしてうれしくなって、ついニコニコしてしまうのだ。
 そんなセイヤを、お迎えに来たおとうさんとクラス担任のリコ先生が、少し心配そうに見つめながら、ひそひそと話をしていることも知っている。
 ある日のお迎えのとき、おとうさんがセイヤにたずねた。
「セイヤ、保育園はいままでどおり楽しい?」

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