第40回(2009年)
JOMO童話賞
【中学生の部 優秀賞】

雨の日の晴れ作者:清水美里

雨の日の晴れ

 ポツポツ、コンコンと、雨が窓をノックした。
 朝からずっと降りつづいている雨は、どんどん強くなっていく。ちさは学校から帰ってひとり、家でおかあさんの帰りを待っていた。
 雨の音が大きくなると、ちさは急に不安になった。ひとりぼっちの家に、まるで知らないだれかが、家中をノックしているみたいで、怖かったのだ。ちさは部屋の隅っこで丸くなった。
 そのとき、今までとは違う音で、窓からコンコンとノックが聞こえた。ちさは驚いていっそう丸くなって、窓のほうを、じいっと眺めた。
 すると、ガラガラと勢いよく窓が開いた。
「いやいや、まいった。傘に穴が開くなんて。」  窓から、ひょいと上がってきたのは、スーツをピシッと着こなした猫だった。猫は、まだら模様にぬれたスーツを手で払い、小さな傘を、ていねいにたたんで、窓辺にかけた。
「おや、どうしてそんな所にいらっしゃるんですかニャ?」
 猫は大きな鞄を抱えて、首をかしげた。
「……あなた、だあれ?」
 ちさが小さな声で猫に聞きかえすと、猫は姿勢を正して、ゴホンと、咳払いをした。
「これは失礼、自己紹介が遅れまして。わたしはサニーと申します。あなた様に、『雨の日の晴れ』を、届けにきたんですニャ。」
 猫は帽子を取って、深くお辞儀をした。
「雨の日に、晴れを?」
 ちさがそばによって聞くと、
「はい、その通り。」
 と、喉を鳴らした。
「雨の日は、どうしても気分が落ちこんでしまいますでしょう? ですから、わたしは、いろんな方に、雨の日の晴れを届けているんですニャ。」

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