童話っていいね!~おすすめ童話のご紹介~

たまごサーカス

たまごサーカス

ふくだじゅんこ:作
出版社:ほるぷ出版 ISBN:978-4-593-56086-8
2013年4月発行 1,300円+税

作者のふくだじゅんこさんは、武蔵野美術短期大学デザイン科を卒業し、グラフィックデザイナーとして活動したのち、絵本づくりを始めました。作品には、絵のみを手がけた『あたしのまざあ・ぐうす』(冨山房インターナショナル)、『あまいね、しょっぱいよ』(グランまま社)、絵も文章も手がけた『こぐまくん、ないしょだよ』(大日本図書)などがあります。コラージュで描く独特の作風で、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展フィクション部門では3回の入選をはたしています。

ココがいいね!

今月は、卵たちがサーカスを繰り広げる、とびきり愉快なお話をご紹介します。ころころ転がるうえに割れやすい卵は、サーカスのスリリングな雰囲気を表現するのにこの上ない適役で、作者の目のつけどころにセンスを感じずにはいられません。卵を割ってしまった経験があったり、卵のもろさを知っているお子さんなら、より一層ハラハラしながら楽しむことができるでしょう。紙を貼付けるコラージュという技法で描かれた、ユニークでかわいい絵も話題です。

この本の読みどころ

広場で見たピエロの真似をし、卵でジャグリングに挑戦して割ってしまったぼくは、お母さんに叱られます。その夜、つんつんと誰かに起こされ、屋根裏へ連れて行かれると、そこで開かれていたのは、卵のサーカスではありませんか!大勢の卵のサーカス団員が、いろいろな出し物をしては、観客(こちらもみんな卵)から拍手喝采を浴びています。やがてお待ちかねの空中ブランコが始まり、卵のブランコのりが、ブランコからブランコへとびうつろうとしたその時、つるりっ!!
オープニングの歌や卵たちの豊かな表情など、読みどころがいっぱい詰まったお話ですが、なかでも印象に残るのが、「われるのを こわがってちゃ りっぱなたまごとは いえねえぜ。」という、何とも粋な卵のセリフです。お母さんに叱られた時は「なんだい、たまごの いっこぐらい!」と言っていたぼくも、この潔くてかっこいい命がけのサーカスを見て、これからはきっと卵を大切にするようになるでしょう。ひと通り読み終わったら、裏表紙やジャケットの内側もじっくりご覧ください。サーカス団の舞台裏が描かれており、ますます想像がふくらみますよ。