童話っていいね!~おすすめ童話のご紹介~

「ともだちがほしかったこいぬ」

「ともだちがほしかったこいぬ」

奈良美智 絵・文
マガジンハウス 1999.11.18 第1刷発行
1600円+税
ISBN4-8387-1154-9
他にも映画「ロッタちゃんと赤いじてんしゃ」のイメージドローイングを手がけたり、多数のピクチャーブックがあります。

作者の奈良美智(なら・よしとも)さんは、1959年青森県弘前市生まれで、愛知県立芸術大学院修了後、ドイツ国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに在籍していました。そしてA.R.ペンクよりマイスターシュウラーを取得し、98年、UCLAで3ヶ月客員教授をつとめていました。現在もケルンと日本をベースに制作活動を行い、ヨーロッパ・アメリカ・アジアなど世界的規模で作品を発表し活躍しています。

ココがいいね!

「つり目の怪しい女の子」の絵でおなじみの奈良美智さんの初絵本です。この絵本にもつり目の女の子が登場します。「こわかわいい」と表現されるこのキャラクターたちは、決して怒っているわけではなく、淋しかったり、驚いていたり、笑っているようにも見えます。
表情だけではなく描き方にも独特の雰囲気があり、従来、完成作の下絵とするドローイングを手法としていて不思議な温もりのある作品になっています。

この本の読みどころ

こいぬはガリバーみたいに大きくて、誰にも見つけてもらえず淋しい毎日を過ごしていました。でもある日女の子が気づいてくれます。出会いの場面が面白く、つり目の女の子が目をまんまるくするほど驚いている様子がかわいいです。
普通の絵本だと、その幸せな状況になる前後に起きた事件や苦労が描かれていることが多いのですが、この絵本はそういう辛い話は文章のみで書かれ、絵には描かれていません。幸せになった後のこいぬの回想で物語が進んでいるから素敵なことばかり描かれているのかもしれません。言葉のないページの幸せそうな二人(一匹?)を見ていると、ひとりじゃないことの楽しさが伝わってきます。