部屋の窓からいつもは見えるはずの太陽が、今日はすっかり雲に隠されていた。朝ご飯を食べ、
「行ってきます。」
 と声を出して玄関を出た。
 学校へ向かう、いつもどおりの通学路。
 灰色の空は、見ているだけですぐに疲れてしまう気がした。
 しばらく歩いていると、何かに「助けて……」、と呼ばれたような気がして、道のいちょうの木のほうをちらりと見た。
「あっ。」
 わたしは本当に驚いた。なぜなら、そこにはぐったりとして倒れている雀がいたからだ。
(助けてあげたい……。
けれど、学校にも行かなきゃいけないし……。) 
 そこでしばらく悩んでいたが、
(わたしがしなくても、
きっとだれかが助けてくれる。) 
 と自分に言い聞かせ、わたしは逃げるように走っていった。それでも、わたしはあの子が気がかりで、ずうっと上の空で過ごしていた。勉強も部活にも集中できず、ただあの子のことを考えていた。

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