人は何なのか。
 勝つことしか望んでないもの。
 自分が幸せなら何でもいいもの。
 僕はその一員。密猟者です。
 僕は、命なんてどうでもいい。
 そういう気持ちが勝ってしまった者です。
 僕の仕事は日の出のときに家を出て、自分だけのルールを決めて、獣を撃ってくることでした。
 今じゃ、この五年間何をしていたんだろう。そう思うことで、日々が終わっていくようになりました。過去の記憶に戻ってみると、僕はその獣の為に泣いたことなんてありませんでした。

 獣を殺すこと。
 それが普通になっていたことでしょうか。
 ある冬のことでした。僕はいつものように日の出のときに家を出て、銃を担いで外へ出ました。当たる風が肌寒くて、息を白くしていきました。一時間ほど、歩いていたら、山の向こうから小さな足音が聞こえてきました。僕はこっそりと、草の奥で息を殺していました。姿が見えたときには、僕は驚きました。狼の群れが、獲物を追って走っているところでした。
『なんて美しいんだ。』
 思わず感動の言葉が僕の口から漏れてしまいました。狼なんて見たのは初めてだったので、僕は少々唖然としてしまいました。真っ白な毛並みが真っ白な雪と絡み合って、それはそれは、もう感動するしかないほどの美しさでした。一生見ていたい。そんな風に、我を忘れそうになってしまっていました。僕は慌てて、狼の群れに銃を二、三発放ちました。狼たちは、厳たる声をあげて、地面にどくどくと血を流していきました。 血が、雪ににじんでいって、見ることもできなくなるような、それは、それは、残酷でした。

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