童話っていいね!

『きつねのでんわボックス』

『きつねのでんわボックス』 表紙
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作者の戸田和代さんは、東京都生まれ。『ないないねこのなくしもの』(くもん出版)で日本児童文芸家協会新人賞、『きつねのでんわボックス』(金の星社)で第8回ひろすけ童話賞を受賞。主な作品に『つきよのくじら』、『くまさんじゃなくてきつねさん』(いずれも鈴木出版)、『かえるのかさやさん』シリーズ(岩崎書店)、『がたごとごーごー』(文化出版局)などがあります。

絵のたかす かずみさんは、福岡県生まれ。子ども向けの雑誌や絵本のさし絵を手がけるなど幅広く活躍。パステルを使ったやさしくあたたかい画風は定評があります。主な作品に『ポリンはポリン』(佼成出版社)、戸田和代さんと組んだ作品に『きつねのでんわボックス』、『おてんきてんしのおくりもの』、『ぱぱごりたんのおおきなせなか』(いずれも金の星社)などがあります。

『きつねのでんわボックス』

戸田和代:作
たかす かずみ:絵
出版社:金の星社 ISBN:978-4-323-02010-5
1996年10月発行 1,100円+税

ココがいいね!

秋の気配を感じる時期になってきましたね。今回は、人間の男の子と母ぎつねとの、切ないけれど、おだやかで優しいお話をご紹介します。

大切な子ぎつねを亡くし、毎日、泣いていた母ぎつねは、山のふもとにある古い電話ボックスのあかりに、少し心癒されます。その電話ボックスの中に、人間の男の子が見えました。男の子は、離れて暮らしている入院中のお母さんに電話をするため、毎日、電話ボックスに来ていたのです。その後、男の子に子ぎつねとの思い出を重ね、そっと見守り続ける母ぎつね。ところが、ある晩、電話ボックスのあかりが消えていて…。男の子は、電話をかけられなくなってしまうのでしょうか。

ぼうやがうれしいと、母さんは、いつもうれしい、と子ぎつねに話す母ぎつね。その親子の様子は、とてもほほえましく、心が和みます。それゆえ、母ぎつねにとって、子ぎつねの死がどんなに辛く悲しいことか痛いほど伝わってきます。大人の方が読むと、母ぎつねの子ぎつねに対する深い愛情をより感じとられて、お子さま以上に心に響くものがあるかもしれません。

みんなも、これから大切な人と、優しい気持ちで語らうひと時をたくさん持てたら、「いいね!」